インストール方法
「ひらがなIME」を利用できるようにするには、つぎの手順でセットアップをすすめていきます。
ソフトウェア パッケージをインストールする
FedoraかUbuntuをつかっているときは、かんたんなコマンドで「ひらがなIME」をインストールすることができます。
Fedoraのばあい
Fedora用のソフトウェア パッケージはCoprプロジェクト「@esrille/releases」から提供しています。このCoprプロジェクトを有効にするには、いちど、コマンドラインからつぎのように実行します。
sudo dnf copr enable @esrille/releases
そのあとは、いつものように、dnfコマンドで「ひらがなIME」をインストールできます。
sudo dnf update
sudo dnf install ibus-hiragana
Ubuntuのばあい
Ubuntu用のソフトウェア パッケージはPPAレポジトリ「esrille/releases」から提供しています。このPPAレポジトリを有効にするには、いちど、コマンドラインからつぎのように実行します。
sudo add-apt-repository ppa:esrille/releases
そのあとは、いつものように、aptコマンドで「ひらがなIME」をインストールできます。
sudo apt update
sudo apt install ibus-hiragana
ソースコードからインストールするばあい
「ひらがなIME」をソースコードからビルドしてインストールするには、つぎのようにします。
git clone https://github.com/esrille/ibus-hiragana.git
cd ibus-hiragana
meson setup --prefix /usr _build [-Denable-dic=true] [-Denable-html=true]
ninja -C _build
ninja -C _build install
- -Denable-dic=trueを指定すると、漢字辞書とカタカナ辞書をビルドすることができます。
- -Denable-html=trueを指定すると、マークダウン ファイルからヘルプ用のhtmlファイルをビルドすることができます。
ビルドするときに必要なパッケージについては、debian/controlのBuild-Depends、あるいは、ibus-hiragana.specのBuildRequiresを参考にしてください。
Fedoraであれば、つぎのコマンドでビルドに必要なパッケージをインストールできます。
sudo yum-builddep ibus-hiragana.spec
Ubuntuであれば、つぎのコマンドでビルドに必要なパッケージをインストールできます。
sudo apt build-dep .
Wayland用のインプットメソッドモジュールを変更をする
Ubuntu 21.04以降やFedora 25以降では、デフォルトで画面の描画にWaylandをつかうようになっています。Waylandは、ながくつかわれてきたXサーバーをおきかえるものです。
GNOMEではWayland用のあたらしいインプットメソッドモジュールも開発しています。ただ、まだ開発途中の部分がのこっています。GNOME 45以前のシステムでは、ただしい周辺テキストの情報がIMEにおくられてきません。またGNOME 46以降でも、主要なアプリケーションソフトウェアの挙動がかわってしまうという問題がのこっています。
「ひらがなIME」を使用するときは、WaylandでもIBusのインプットメソッドモジュールをつかうことをおすすめします。そのためには、つぎの行を ~/.bash_profile
(Fedoraなど)か、~/.profile
(Ubuntuなど)に追加してください。
export GTK_IM_MODULE=ibus
GNOMEのバージョンは、GNOMEの[設定]ウィンドウをひらいて、[このシステムについて]—[システムの詳細設定]をしらべると確認できます。
OSの入力ソースに追加する
ソフトウェア パッケージのインストールができたら、いちどコンピューターを再起動してください。
つづいて、OSの「入力ソース(※)」に「ひらがなIME」を追加します。入力ソースの設定のしかたは、デスクトップ環境によってすこし異なります。
※ キーボード配列やインプット メソッドのことをまとめて「入力ソース」とよんでいます。
GNOMEを利用しているとき
FedoraやUbuntuでは、GNOMEが標準のデスクトップ環境になっています。GNOMEを利用しているときは、GNOMEの「設定」をひらいて、「キーボード」の「入力ソース」に、「日本語 (Hiragana IME)」を追加します。
GNOME以外を利用しているとき
「IBusの設定」ウィンドウをひらいて、「入力メソッド」タブの「入力メソッド」に、
日本語 - Hiragana IME
を追加します。
「ひらがなIME」を有効にする
IBusでは、複数のIMEをきりかえて、つかうことができます。
「ひらがなIME」を有効するには、デスクトップ シェルの「キーボード メニュー」をひらいて、「日本語 (Hiragana IME)」をえらびます。「キーボード メニュー」は、トップバーの現在の入力メソッドを表示している部分(「
なお、「ひらがなIME」は直前に指定されていたキーボード レイアウトをつかって動作するようになっています。
- 日本語キーボードを利用するときは、まず、入力ソースから「日本語」を選択します。そのあとで、入力ソースから「日本語(Hiragana IME)」を選択します。
- 英語(US)キーボードを利用するときは、まず、入力ソースから「英語(US)」を選択します。そのあとで、入力ソースから「日本語(Hiragana IME)」を選択します。
使用するキーボードのレイアウトがみつからないときは、GNOMEの「設定」をひらいて、「キーボード」の「入力ソース」にレイアウトを追加してください。「ひらがなIME」は、いまのところ、「日本語」,「英語(US)」,「英語(Dvorak)」の3つのキーボード レイアウトをサポートしています。
メモ: キーボードは国や言語によってスイッチのレイアウトがことなります。日本では、日本語キーボードのほかに英語(US)キーボードも利用されています。英語(US)キーボードは、アメリカで一般的につかわれているキーボードです。USはUnited States (of America)の略です。英語キーボードでも、イギリスのものはアメリカのものとまたすこしキーボード レイアウトがちがいます。
大規模言語モデルを利用するときの追加のインストール
「ひらがなIME」には、大規模言語モデルを利用して変換候補の選択をアシストする機能があります。この機能を有効にするには、つぎのようなパッケージを追加でインストールする必要があります。
「ひらがなIME」は、ローカルのPython venvのなかで実行されています。このvenvにあわせて、上記のものをインストールするには、つぎのようにします。
- 「ひらがなIMEの設定」ウィンドウで、「変換候補の選択にLLMを利用する」を有効にする。
- [インストール...]をクリックすると、つぎのようなウィンドウがひらきます。
- [インストール]をクリックすると、パッケージのダウンロードとインストールがはじまります。その経過もウィンドウ内に表示されます。
- インストールが完了すると、[インストール]ボタンが[とじる]ボタンにかわります。
- [とじる]ボタンをクリックして、ウィンドウをとじます。
LLMを利用するために必要なパッケージのインストールはこれで完了です。さいごに、LLMを利用できるように、いちど、ログインしなおして「ひらがなIME」を再起動します。
アップデートのしかた
あたらしいバージョンの「ひらがなIME」をリリースしたときは、GitHubのReleasesページからおしらせしています。インストールした手順にあった方法でソフトウェアのアップデートをおこなってください。
Fedoraのばあい
そのほかのFedoraのパッケージとおなじようにアップデートされます。コマンドラインからは、つぎのdnfコマンドでアップデートできます。
sudo dnf update
Ubuntuのばあい
そのほかのUbuntuのパッケージとおなじようにアップデートされます。コマンドラインからは、つぎのaptコマンドでアップデートできます。
sudo apt update
sudo apt upgrade
ソースコードからインストールしたばあい
以下のコマンドを参考に、最新のソースコードを取得してビルドしなおしてください。
git pull
ninja -C _build
ninja -C _build install
アンインストールのしかた
「ひらがなIME」のアンインストールは、インストールした方法にあわせて、おこなってください。
Fedoraのばあい
dnfコマンドで「ひらがなIME」をアンインストールします。
sudo dnf remove ibus-hiragana
Ubuntuのばあい
aptコマンドで「ひらがなIME」をアンインストールします。
sudo apt remove ibus-hiragana
ソースコードからインストールしたばあい
ソースコードからインストールした「ひらがなIME」をアンインストールするには、つぎのようにします。
sudo ninja -C _build uninstall
ninjaのuninstallコマンドは、ディレクトリ /usr/share/ibus-hiragana
までは削除しません。このディレクトリが不要なときは、つぎのようにして削除します。
sudo rm -rf /usr/share/ibus-hiragana
ホームディレクトリ内に保存されるユーザーのデータについて
「ひらがなIME」は、ディレクトリ ~/.local/share/ibus-hiragana/
のなかに、漢字変換の学習結果などを保存しています。また、「ひらがなIME」が使用するPythonのvenvもこのディレクトリのなかにあります。
~/.local/share/ibus-hiragana/
├── dic/ # 辞書の学習結果
├── my.dic # 個人辞書ファイル
└── venv/ # ひらがなIME用のPython venv
「ひらがなIME」を複数のパーソナルコンピューターで使用するときは、ディレクトリ dic
や my.dic
をコピーして使用することもできます。
クリーンアップ方法
「ひらがなIME」をアンインストールしたときは、ディレクトリ ~/.local/share/ibus-hiragana/
をまるごと削除してかまいません。
rm -rf ~/.local/share/ibus-hiragana
また、かな漢字変換に大規模言語モデルを利用しているばあいは、tohoku-nlp/bert-base-japanese-v3 のファイルが、ディレクトリ ~/.cache/huggingface/hub/models--cl-tohoku--bert-base-japanese-v3/
のなかに保存されています。このファイルは、ひらがなIME以外のTransformersを利用しているアプリが利用していることがあります。「ひらがなIME」のほかに、そのようなアプリがなければ、このディレクトリも削除してかまいません。
rm -rf ~/.cache/huggingface/hub/models--cl-tohoku--bert-base-japanese-v3